身体のキズと虫歯治療
私たちの身体は外胚葉由来の上皮(表皮)で覆われています。
この上皮組織が何らかの理由で破れて内部組織が露出することを創傷(キズ)といいます。
歯も外胚葉由来のエナメル質で覆われて内部組織を守っています。
エナメル質が虫歯菌の酸によって溶け内部組織である象牙質や歯髄(神経)が露出すると
創傷と同じ状態になると考えられます。
ですから虫歯に対しては傷を治すのと同じ考えで治療を施す必要があります。
一般にキズは出血した血が固まり瘢痕組織(かさぶた)というものが形成され治癒に向かいやがて上皮が出来内部組織を覆い守ります。
残念ながら歯は自然治癒というものがありませんので私たち歯科医が
人工的な上皮、エナメル質を生成して治癒に導いてあげなくてはなりません。
しかし今までの金属にセメントをつけて詰めるという治療は残念ながら上皮とは成り得ませんでした。
それはキズにフタをしただけで上皮を作ったことになりません。
人工上皮あるいは人工エナメル質としての可能性を持つものとして樹脂含浸層あるいは樹脂含象牙質が考えられます。
簡単に言えば象牙質の中に浸透していく樹脂(プラスチック)で象牙質を保護し外部環境から遮断するということです。
こうしておけば酸にも細菌が出す酵素にも溶解しない象牙質に改質することが出来ます。